2008年10月27日月曜日

【北アルプス】僕の山小屋日記1

そういえば今日は27日。
僕が10月までいた小屋の系列の小屋も営業を20日で終了したんだねぇ〜。
ふと思い出したよ。

僕が入山したのは6月30日。
前日に高山で支配人の方や一緒に働くバイトの飲んだのがつい最近のようで懐かしい。
その日から禁煙を決意して、タバコ我慢して飲む酒はまずかったなぁ〜。
初めての北アルプスを前日に控え、変に緊張して強がったり、禁煙一日目と言う事もあって吸いたい衝動にも駆られたりして、頭の中でハットリ君の頬にあるような渦巻きがグルグルと回っていた。

入山当日。
登山口では天気も良くなく、ガスってて霧雨が少し。
レインウェアと緊張で吹き出る汗、雪、初めての重い荷物、この日の為に買ったまだ履き慣れない真新しいブーツ。
ほんとキツくてしょうがなくて小屋の人達について行くのが精一杯だった。
幾度と続く雪渓。雪渓。雪渓。雪渓!
ピッケルもアイゼンも使わずにラッセル。
ラッセルと言っても雪は深いがコチコチなので先頭の人間が雪を蹴り足場を作って一歩一歩進んで行く。
はっきり行って本当にしんどくて、もうここまで来てしまった自分に何度も後悔した。

途中、ガスが少し抜けて振り返って山の稜線を見ると今まで写真でしか見たことの無かった山の風景がそこに広がった。
一気にキツさが抜け…とはいかないが初めて見るその山容には感動した。
名も分からない山の稜線だがそこには僕が想像していた以上の「山」が合ったし、その中に今自分がいる事がすごく幸せだった。

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しばらく登ると二つ目の系列の小屋を過ぎた辺りで雲の切れ間から槍ヶ岳が顔を覗かせる。
ほんと絵に描いた様な見事なとんがり具合。
憧れてた山がすぐそこにある。
しかし、すでに広大な北アルプスと言う山々の中にいる事だけで満足で、「ほぅ〜あれかぁ〜」っと若干高ぶる鼓動を抑えカッコ良く通り過ぎた。
単に自分がいっぱいいっぱいでそれどころじゃなかった、ってのもある。

その日は系列の三つ目の小屋で一晩お世話になる。
疲れもあり、結構飲んだがその日の夜は良く覚えていない。
ただ外で初めて見た小屋からの星空は物凄くきれいだったのは良く覚えている。
ちょっと度がある眼鏡を借りて見るとまるでホコリのように星が無数に浮かんでいる。
もともと星座に詳しいわけでもない。
オリオン座とか、柄杓の様な北斗七星くらいなら僕にだって分かる。
しかし、星座の区別がつかない程の星の量。
天の川はまるで飛行機雲のように山の稜線から反対側の山の稜線まで連なっていた。